変形性膝関節症はどのような疾患ですか?

ひざ内部の炎症が原因の、進行性の関節疾患です。

時間をかけて徐々に進行します

  • 変形性膝関節症は、膝の関節軟骨にできた小さな傷から始まります。この傷(損傷)が長い年月をかけて徐々に広がったり磨耗したりすることで進行し、痛みを増していきます。
  • 進行期には、軟骨の損傷に加えて骨の変形もきたすようになり、やがて膝の曲げ伸ばしも困難になります(骨の変形の結果、O脚やX脚といった症状も顕著になってきます)。
  • 末期には、痛みと骨の物理的な変形が相まって、関節の可動域はさらに縮小します。

変形性膝関節症の病態と症状

中高年の2人に1人に当てはまります

  • 日本では、変形性膝関節症による膝の痛みを抱えている患者さんの数は約800万人と推定されています。
  • 痛みの自覚症状は無いものの、レントゲン所見上の異常が認められる推定有病者数を含めると、その数は約2,500万人にも達します[1]

変形性膝関節症の有病率

将来介護を必要とする大きな原因一つです

  • 痛みの継続と関節可動域の縮小は、日常生活の自立を妨げます。
  • 実際、日常生活で介護者の支援が必要になる理由の第1位は、変形性膝関節症をはじめとする「関節疾患」でした。
  • 筋肉や関節、骨といった運動器の機能低下に起因するものまで含めると、その割合は全体の約半数(48.6%)に達します[2]
  • ただし、適切な治療によって痛みを抑えたり、病態の進行を遅らせることは可能です。

要支援の原因疾患

変形性膝関節症の原因は何ですか?

加齢に伴う関節の機能低下のほか、遺伝、生活環境、他の疾患による影響などさまざまです。

発症の契機は、軟骨や半月板など、関節のクッション機能の不具合です。

  • 歩行時、膝には体重の3倍以上の力が加わります(階段の上り降りなどの際にはさらに大きくなります)。
  • 正常な膝では、軟骨や半月板がクッションとなって関節にかかるこうしたストレス(重み)を適切に分散させています。
  • 軟骨や半月板がダメージを受けると、このストレスの分散がうまくいかなくなり、局所的に強い圧力がかかります。
  • 変形性膝関節症は、こうした状態が長期間続くことで発症します。

変形性膝関節症には、原因がはっきりしないものと、原因がはっきりしているものがあります。

  • 変形性膝関節症は、軟骨損傷に特定の原因がなく、加齢とともに膝関節の軟骨がすり減った結果生じるもの(一次性)と、リウマチや痛風、外傷などのはっきりした原因があって発症するもの(二次性)に分類されます。
  • 頻度としては、一次性の方が圧倒的に多いです。

変形性膝関節症の原因別分類

どうして痛みを感じるのですか?

関節内の炎症が痛みの原因です。

破損した軟骨や半月板などのかけらが炎症を引き起こし、痛みを感じます。

関節内炎症 イメージ

  • ひざの軟骨は、加齢などの影響を受けて、少しずつすり減り、しだいに表面が毛羽立ったような状態になります。また、ケガなどによって関節に無理な力が加わることで、半月板が傷つけられることがあります。
  • このとき削り取られた軟骨や半月板のかけらは関節液に散らばって、関節の内部を覆う膜(滑膜:かつまく)を刺激します。
  • この刺激で炎症が起こり、痛みを感じるようになります。
  • また、軟骨がすり減って骨同士が直接ぶつかり合うようになると骨が削れ、それを補おうと横にはみ出すように骨(骨棘:こっきょく)が増殖します。
  • 骨棘の形成が進むと、ほねの内側と外側にかかる体重差が大きくなり、O脚やX脚のように、見た目の変形も顕著になっていきます。こうなると、ちょっとした動作にも激しい痛みを伴うようになり、やがてはひざを動かさなくても痛みを感じるようになります。

どうやって診断するのですか?

診察と画像検査の結果を踏まえて総合的に判断します。

検査はX線撮影とMRI検査です。

  • 診察では、お話を伺ったり(問診)、実際にひざを見たり触ったり(視診、触診)して状態を確認していきます。
  • 検査はX線撮影が基本ですが、さらに詳しく調べる場合にはMRI撮影を行うことがあります(当院では原則初診時にMRI撮影を実施します)
診断時に確認するおもな項目
目的 内容
問診 現状の確認
  • いつから痛むか
  • どこが痛むか(膝の外側or内側/膝の皿の上or下)
  • いつ痛むか
  • どんな痛みか
  • 痛み以外の症状(こわばる、熱がある、音がなる、など)
  • これまでに経験のあるケガや病気
  • 家族で関節の病気になった人の有無
視診 動作への影響の確認
  • O脚やX脚が見られるか
  • 膝の曲げ伸ばしの様子
触診 膝内部の状態の確認
  • 押すとどこが痛むか
  • 腫れや熱はあるか
  • 曲がり具合はどうか
X線撮影 骨の状態の確認 立った状態で膝関節を撮影
MRI撮影 骨以外の組織(軟骨、腱、靭帯、半月板など)の状態の確認 横になった状態で膝関節を撮影
関節液検査 炎症の原因や程度を調べ、変形性膝関節症以外が原因である可能性も確認 注射で関節液を抽出

X線画像を元に重症度が分類されます。

  • 変形性膝関節症の重症度分類として、最も一般的なものはK-L分類です。
  • 初期から手術治療の適応になる進行期まで、全部で4つのグレードに分類しています。

Kellgren-Lawrence分類(K-L分類)

Grade 1

Grade 1

変形性ひざ関節症が疑われる状態。大きな変化はないが、骨棘(こつきょく)※1や骨硬化(こつこうか)※2が見られることがある。

Grade 2

Grade 2

ひざ関節の隙間が狭くなり始める、変形性ひざ関節症の初期段階。骨の大きな変形はないが、わずかに骨棘の形成が確認できる。

Grade 3

Grade 3

変形性ひざ関節症の進行期。ひざ関節の隙間がさらに狭くなったり、はっきり確認できるほどの骨棘や骨硬化が生じたりする。

Grade 4

Grade 4

ひざ関節の隙間が75%以下となり、消失することもある。大きな骨棘が形成され、骨の変形も顕著に認められる、末期の段階。

【出典】J. H. Kellgren and J. S. Lawrence. Radiological Assessment of Osteo-Arthrosis. Ann Rheum Dis; 16(4): 494–502. 1957.
※1 骨棘:骨の縁にトゲのような変形が生じること。
※2 骨硬化:骨同士がぶつかり合い、硬くなっている状態。X線画像ではより白く映る。

その他の検査

一般的な整形外科では少ないですが、MRIを用いることで、軟骨や半月板、骨内の状態まで確認可能です。当院では治療の適応を判断するため、患者さまには受診前に提携先の医療機関でMRI検査を受けられるよう、お願いしています。
また、必要に応じて関節液や血液の検査も行われます。関節液とは、関節を満たしている液体のこと。ひざ関節内に強い炎症が起きていたり水がたまったりしている場合、この関節液を注射器で採取し、検査します。変形性ひざ関節症であれば、黄色がかった透明色の関節液が見られます。血液検査は、ひざの痛みが関節リウマチによるものと考えられる場合に行われるもので、炎症反応やリウマチ因子の発見に役立ちます。

治療したら治りますか?

完治は難しいですが、痛みを緩和させることは可能です。

治療のポイントは痛みの速やかな軽減と、いかに進行を遅らせるかです。

  • 残念ながら、軟骨を元通りにして完治させる方法は確立されていません。
  • ただ、治療することで痛みを緩和もしくは解消させたり、軟骨がすり減っていくスピードを遅らせる効果が期待できます。
  • 変形性膝関節症の治療では、この”いかに進行させないか”という点が重要なポイントとなります。
  • 適切に治療することで活動性の低下を防ぎ、自立して生活できる期間を長くすることができます。

治療の進め方について教えてください

まずは運動療法と薬物治療が中心ですが、効果が得られなければ手術が必要になります。

初期ならメインは運動療法。さらに薬物療法で補足します。

  • 運動療法の目的は、ひざ関節を支える筋力の強化と、ひざの柔軟性を保つことです。
  • 変形性膝関節症の初期治療の中心は運動療法です。変形性膝関節症の治療ガイドラインでも、ひざへの負担を少なくするための生活改善と運動療法は強く推奨されています[3]
  • ただし、日常生活に影響するような強い痛みを感じる場合は薬物治療を併用します。
  • 薬物療法やヒアルロン酸注射は、運動に取り組みやすくするために行うのだとお考えください。同じ目的で、サポーターや杖、足底板などの装具の処方や使用をおすすめする場合があります。

変形性膝関節症の保存療法

手術の種類はさまざま

  • 薬物療法や運動療法を6ヵ月以上続けても効果が得られない方や、痛みで日常生活への支障が大きい方は、手術が検討されるようになります。
  • 関節内に浮遊するゴミを取り除く「関節鏡視下手術」は比較的初期段階の方に検討されます。
  • 高位脛骨骨切り術は関節の傾斜を平らにする手術で、関節の大部分を温存できます。ただし入院やリハビリ期間が長くなるのが難点です。
  • 人工関節置換術は、損傷した範囲を削って整え、金属とポリエチレンでつくられた関節器具を取り付けます。この手術では、介助なしで歩行できなかった人が一人で歩けるようになるなど、大幅な改善が期待できます。一方で、ひざを15cmほど切開することもあり、身体への負担は多大です。近年、手技やシステムも進歩していますが、最終的な治療法という位置づけは変わりません。

変形性膝関節症の代表的な3つの手術

できれば手術は避けたいのですが、良い方法はありますか?

再生医療を用いた治療(またはそれに準じた治療)には、手術を回避できる可能性があると考えます。

当院の再生医療では脂肪や血液を使用します。

  • 当院が扱う再生医療は、手術なしの注入治療です。血液や脂肪に含まれている「組織の修復に働く成分」を注射で投与します。
  • 過去の経験上、保存療法で効果が得られない方は本治療の良い適応です。
  • 普段の生活を続けながら受けられるので、手術に踏み切れない方には大きなメリットと言えます。

再生医療では、痛みの改善と症状の進行を遅らせる効果が期待できます。

  • 薬物やヒアルロン酸注射など、いわゆる保存療法と呼ばれる治療は、一時的な痛みの緩和は得られても、変形性膝関節症の進行を食い止めることはできません。
  • 一方、再生医療なら、関節機能の悪化速度を遅らせることが期待できます。
  • 実際、痛みや関節機能の改善という面で、薬物療法を上回る利益がもたらされたという研究も報告されています[4][5]
  • 再生医療は全ての人に有効というわけではありませんが、効果が期待できるかどうかをMRI検査で事前に確認することは可能です。

治療の選択肢が増えるメリット

再生医療はメリットとデメリットを知った上で検討してください。

  • 仕事のことや術後のこと、手術効果の不安から、できるなら人工関節にしたくないとお考えの方には、再生医療は魅力的かもしれません。
  • ただ、検討の際にはメリットとデメリットを知り、納得してから受けられることをおすすめします。
  • 当院では、初診の段階でこうした点を詳しくご説明し、ご納得いただいた上で施術を受けていただきます。
メリット
  • 緩和治療で改善されない痛みにも有効
  • 痛みの根本治療になり得る
  • 本来のひざ関節の寿命を伸ばせる
  • 重篤な副作用のリスクが低い
  • 入院しないので生活に支障が少ない
デメリット
  • 患者さまによって効果の出方が異なる
  • 既往歴で受けられないこともある
  • 自由診療なので保険が適用されない
  • 治療後に痛みや腫れを伴うことがある
  • 培養や加工に数週間かかる治療もある

どういう人が変形性膝関節症になりやすいのですか?

性別、体型、生活習慣、元々の身体的な特徴などが関係します。

女性(閉経後)
閉経後は、骨、軟骨、筋肉を丈夫に保つ女性ホルモン(エストロゲン)が激減します。40歳以上の変形性膝関節症患者さん煮しめる女性の割合は、男性の約2倍と推計されています。
肥満体型の人
体重増が膝への物理的な負担になるだけでなく、内臓脂肪から分泌される物質が膝の炎症を引き起こし、軟骨を壊れやすくします。
スポーツや仕事などでよく膝を使う人
膝にどれだけ大きな負担をかけてきたか、その負担がどれだけ続いていたかは、発症時期や重症度に大きく影響します。
O脚やX脚の人
O脚やX脚の膝は、内側と外側でかかる圧力にばらつきがあります。強い力が加わる部分は軟骨の損傷が進行します。
重い荷物を頻繁に運ぶ
重い荷物を持つと、それだけ膝にかかる負担は大きくなります。日常的に膝にかかる負担が大きいと、リスクは高くなります。
脚の筋肉量が少ない
膝関節周辺(太ももやふくらはぎ)の筋肉は、膝を動かすだけでなく、膝関節への負担を減らす役割も担っています。

変形性膝関節症の人がしてはいけないこと(運動)はありますか?

ひざに負担がかかる動作は避けてください。

急に動いたり止まったりする動作

  • 急に動く、または急に止まるという動作は膝関節にとって大きな負担になります。具体的にはサッカー、野球、テニス、ジョギング、スキーなどです。
  • これらスポーツの愛好家の方にはお辛いところですが、症状を悪化させないためには自制いただきたいところです。ジョギングなどの有酸素運動は体重の減少に有効ですが、膝への負担を考慮するとウォーキングに切り替えていただくことをお勧めします。

ひざを深く曲げる動作

  • 具体的には
    ・直接床に座る
    ・和式トイレを使用する
    ・布団で眠る
    といった動作です。
  • 居間や仕事場など長時間過ごす場所では椅子やソファーの使用を検討してください。トイレの便座も、可能であれば洋式に変えていただくのが望ましいです。
  • 布団で眠らない方が良いわけは、布団の上げ下げと、起き上がる動作がひざの負担になるからです。住宅事情等から、もし可能であればベッドを使用されることをお勧めします。

その他、できるだけ改めていただきたい生活習慣

  • この他として、タバコとお酒はなるべく控えるように心がけてください。
  • タバコの煙は、軟骨の材料であるコラーゲンの生成に不可欠なビタミンCを減少させます。
  • また、アルコールは軟骨の弾力性を低下させ、軟骨の摩耗しやすい状態に変えてしまいます。

予防のために注意すべきことはありますか?

脚の筋力を付け、ひざへの負担を減らすことが大切です。

できる範囲で筋力強化に励みましょう。

  • 激しいスポーツよりもウォーキングや自転車、水泳などのひざへの負荷が少ないものがおすすめです。すでに痛みを感じている方は無理をせず、ひざ関節への影響力の大きい大腿四頭筋(太もも前側の筋肉)にフォーカスしてトレーニングすると良いでしょう。
  • 無理のない範囲で筋力トレーニングの習慣を身につけておくのも有効です。

変形性膝関節症の予防体操

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変形性ひざ関節症にお悩みの皆さまへ

変形性ひざ関節症は進行性であるがゆえに、早期の診断とひざの状態に適した治療がとても重要な疾患です。だからこそ、症状を知って気付くこと、原因を知って予防すること、様々な治療法を知って選択肢を増やすことのため、少しでも役立つ情報をお届けできればと考えております。
実際にひざ関節症クリニックには、ヒアルロン酸注射では変形性ひざ関節症の痛みをコントロールできなくなった方や、人工関節や骨切り術といった手術を勧められているけれど不安から踏み切れない方が多く来院されます。そういった方々に対し、患者さまのご希望も踏まえながら、より良い治療法を検討・提案。診察時間を十分に確保できるよう完全予約制とし、次の診察にせかされ患者さまが疑問点を質問できないようなことのないよう、配慮しております。保険適応で受けられる提携施設でのMRI検査もございますので、ひざの状態がよく分かっていないという方もご安心ください。

情報提供を行った医師の紹介

東京ひざ関節症クリニック 渋谷院院長 古屋智之

恵比寿・渋谷院院長古屋智之

  • 保有資格

    日本整形外科学会認定 専門医

    日本整形外科学会認定 スポーツ医

    日本体育協会認定スポーツドクター

  • 所属学会

    日本整形外科学会

多岐にわたって経験と知識を有する専門医・指導医が在籍しています

ひざ関節症クリニックの医師は、全員、日本整形外科学会認定の専門医です。加えて複数の医師が、さらに専門性を極めた分野に従事。新宿院院長の横田直正医師は、日本リウマチ学会認定専門医でもあり、関節炎に深く精通。日本医師会認定産業医の資格も保有しています。医学博士も取得している大宮院院長の大鶴任彦医師は、股関節も専門としており、日本股関節学会学術評議員のひとりです。厚生労働省認定の臨床研修指導医、身体障害者福祉法指定医の資格も取得しています。
また、整形外科分野に限らず、日本再生医療学会にも所属し、さらに専門性を極めた医師も在籍。こういった医師たちの知識と経験に基づき、当サイトでの情報提供を行っております。